聖闘士星矢 天界編 序奏

『ハーデスを倒したけれど星矢は生死不明』というコミック版のラストのその後に、さらに苛烈な神々との戦いが待っていた、というオリジナルストーリィを描く、劇場版・星矢の最新作です。
劇場作品なのに、タイトルに「序章」って付いている時点で、見る前から中途半端な臭いが漂って来て、作品の出来が無性に心配になりますが、ま、おおよそ予想通り。とりあえず、お嫁ちゃんを30分で寝かしつける、という面白さです!
まず敵の強さが伝わってこないです。自称エンジェル(人以上)を名乗る敵達は、聖闘士(人間)と変わりが感じられないです。神がどうした、人がどうした、っていう御託をテンポ悪く並べるくらいなら、えぐい天使ならではの技でも披露してくれれば良いのにな。
例えば、技を受けると細胞という細胞から小型の下級天使が羽化して来て、激烈な痛みに悶絶するとか。相手の姿を見ただけで、奇蹟顕現、身体が綺麗な鉱物に変わってしまうとか。技を受けると一目ぼれしちゃうとか!
あと「人間を滅ぼす」と敵は言うけれど、具体的な描写が何も無くて、危機感が無いですよ。
星矢の仲間も説明無く唐突に出てくるし。痛めつけられている仲間を置いて、「ここは任せたぞ!」とか言って、星矢はおもむろに先に行っちゃうし。

最後の最後に出てきたアポロンはなかなかグッドです。ヴィジュアルと声だけで、格上の強さが伝わってきました。始めにこれくらいの敵を出してくれて、不条理な暴力が荒れ狂うシーンを入れてくれれば、神とか人とかいう御託も、もうちょっと自分に近づけて聞けたかも。
ラストバトル、圧倒的な神の力を前にして、聖衣も服も脱ぎ捨てて、尻丸出しで挑みかかる星矢の姿も必死でナイス!オォ、なぜか戦いを見守るアテナまで裸になってるぞ?!
全編テンポが悪くてタルかったけど、最後に見所満載じゃないか!と思ったら、唐突に戦闘シーンがブチっと切れて、暗転した画面に「人は神を越えたとき何を見るのか?」とか表示されて終了。なんじゃーそりゃー!さすが序章!

話のつじつまとかがどうこうとか、別に聖闘士星矢に求めてないですが、何だか乗れない・気になっちゃう、ってことは、演出がいけてないって事だと思います。
「ピンチに陥って満身創痍だけれど、仲間が一人また一人と立ち上がって、ブワって小宇宙が光って、主題化がバックで流れて、仲間との友情名場面がカットインして、最後は根性論でうぉおおーーー!とか叫んで敵を倒す」とかやってくれれば、単純に血沸き肉踊っちゃうんだけどなー。

もしも続編があるならば、みんなが尻丸出しで闘うといいな。