スカイ・クロラ

hidariwakibara2008-08-02

ポニョの何がしっくり来ないかというと、宗介は金魚を保護したつもりだったのに、いつの間にか凄い訳有りな女の一生を保証しろ、と迫られるからで、全然受け入れの準備が出来ているとは思えないのに受け入れちゃって、ハイ、ハッピーエンドです、っていう所なのです。宮崎駿がコナンとラナ、パズーとシータみたいな少年少女の強固な絆をどこかで信じられなくなってるんじゃないかとも思うし、単純にポニョが駿の理想の女性像と微妙に重なってないからノレナカッタのかも、とも思う。なにはともあれ、いい歳したベテラン監督の入魂の作品にどうしても女の趣味が滲み出して止まらないのは何とも業が深くて味わい深いですな。
そんなこんなでスカイ・クロラ。ああ、押井守は、オカッパ頭とガラス玉の瞳の人形みたいな女が本当に好きなんだなぁ、と認めるしかない映画でした。今までの作品でも人形女は頻出していましたが、あくまで人形としての演技を与えていたと思うのですが、今回は人形女にセックスさせてるのな。なんかオッサンの性癖を生々しく見せ付けられた感じで、ちょっとムホッとなりました。
そこ以外はきわめてコントロールの行き届いた確かなエンタテインメントでありました。原作からエッセンスを抽出して一本の娯楽映画として成立させる手腕は、攻殻機動隊の時のそれに近いものを感じました(すごく判り易くなってる!)。
あとは原作の持ち味である、地に足のついていない思考実験のような純愛描写が、つぼにはまるかどうかで、楽しめる度合いがかわる感じ。個人的には「1999年の夏休み」的な雰囲気が好みなので全然ありでした。いっそ萩尾望都にキャラクタデザインを頼めば良かったんじゃないか、と思いましたわ。