AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜(田中ロミオ)

hidariwakibara2008-08-13

自らが想像した妄想の世界に生き、周りの空気を全く読まない女子高生・良子。ライトノベル涼宮ハルヒに訪れたような楽しい非日常は、しかし良子に訪れることは無く、集団の和を乱す彼女はクラスメイトからそれ相応の攻撃を受けることになる。
そんな良子と同じ体験を中学時代にした主人公が、良子を助けたり見捨てたりするお話。
すごく面白かった!同属嫌悪と共感で、読んでて痺れる青春小説でした。
暴力に晒される妄想世界の住人を目の当たりにして

俺は憎む。稚拙な自己顕示欲を、未熟な精神を、うかつな発言を。愚かしい無防備さを。
みんな努力して”普通”になった。努力を放棄した者、安易なヒロイズムに罹患した者に、救いなんてありはしない。駆逐されちまえばいい。

それくらいの事は考える”真っ当”な主人公が、でももしかして、と期待しちゃう切なさったらないですな。最後はそのままのあり方で突き抜けていく希望が描かれて、作り話だけど感動的。おすすめです、コレ。